私HSPなんです。カミングアウトする?カミングアウトしない?

HSP

 自分がHSPの気質が強くて、人間関係が上手くいかない、疲れやすい。

そう思ったとき、人に、自分がHSPであることを伝えた方がいいか、伝えない方がいいか、迷う人もいるかもしれません。最近は、繊細さんの本などがテレビでも紹介され、HSPという気質が知れ渡るようになり、ネットなのでも簡単にHSPチェックなどができるので、自分はHSPだと思う人が増えてきているのではないでしょうか。

人の悩みの9割は人間関係の悩みと言われているように、人間関係で悩みを抱える人の多くは、その原因をHSPだからだと思うことも無理はないかもしれません。

HSP気質の人は、自分がHSPだとは気付きにくい。

 そもそも、HSPとは、生まれた時からの気質で、脳の扁桃体が5人に1人の割合で反応しやすい機能を持っている人たちのことです。

生まれたときから刺激に反応しやすいので、自分がいろいろなことに気付いて、反応して疲れやすくなっていたとしても、疲れやすさを人と比べたこともないし、気付き具合いを人と比べたこともないので、それが普通だと思って生きています。

HSPは生きづらさを感じているとよく表現されますが、自分が生きづらさを感じて生きていると、思っていないHSPさんが多いのではないでしょうか。

自分がHSPだとわかって、認めるまで、生きやすい生き方があることを知って、初めて「自分って不器用に生きていたんだな、生きづらく生きていたんだな」と気付くからです。

自分の気持ちなのか、相手の気持ちなのか、気持ちの境界線があいまいなHSP

HSP気質の人は、例えばカラオケでマイクを持ったら離さないといった人にはなれません。いつも周りを見ているので、自分がマイクを持って歌った方が、楽しい雰囲気になるなら歌うし、タンバリンなどでサポート盛り上げに徹した方が良ければ、ずっとタンバリンを鳴らすし、全体の雰囲気が楽しいことを優先します。それが「楽しい」と思っているから。

なので、仮に、本当に自分だけが楽しむためのカラオケの仕方は、どういう風にすることですか?と問われると、わからないと思います。

きっと、どんな場面でも、どうすれば「みんなが楽しい」かは、よく考え、気付き、わかるのですが、「自分が楽しい」についてはあいまいで、よくわからないんです。

みんなが楽しむ雰囲気を作れたら、とても安心します。HSPさんが大切にしているのは、この安心できる場所作りであって、自分が楽しめることは優先されません。

自己がわからないから、自己肯定感も高められない。

 周りの雰囲気を良くすることに意識を集中し、自分が楽しむことに集中できないのは、確かに、人の顔色ばかりうかがう、「生きづらさ」のひとつかもしれません。

もっと、自己肯定感を高めましょう!とよく言われますが、自己肯定感は、自己があることで肯定につながりますが、自己があいまいなHSPさんにとっては、まず、自己に気付くことからが出発地点になります。これは自己認識力を高めることが必要で、自己認識力を高めるためには、毎日の出来事やその時思ったことを、思い出して日記を書くことだそうです。

私はHSPです。と言える人はHSPではないかも。

 HSP気質を持っている人が、自分がHSPだと気付き、認めることができるまで、2~3年の時間がかかると思います。認めたくないからではなく、わからないからです。

そして、自分がHSPだと気付き、認めることができたら、その時点で、人生がものすごく明るく感じられます。今までは、みんな元気でいいなぁと思っていたことも、自分の生まれ持った気質が原因であるとわかったら、病気でなかったことに安心できるし、原因がわかれば、刺激を減らすように少し工夫して過ごせばいいし、「私HSPなんです。人付き合いうまくいかないんです…」みたいに、人にカミングアウトした方が良いのかと、迷うような感覚ではないと思います。

 本当にHSPさんの近くにいてくれる人は、相手からあなたってHSPなんじゃない?と気付いてくれるかもしれません。

 自分がHSP気質であると気付けたとき、HSPさんの今までの人生のモヤモヤはほとんど、解決されたと思います。わかっても、気質なので今後はうまく付き合っていかなければなりませんが、今まではただ、何日も落ち込んでいたことも、これは自分の脳の構造だから、落ち込むのは仕方がないとわかれば、落ち込んでいても、気分は沈まなくなる、不思議な現象で前向きになります。

 もし、人間関係のトラブルなどで、落ち込んでいることをアピールしながら、私はHSPですと言える人がいたら、もしかしたら、HSPではなく、また他の病気の症状かもしれません。あなたが医師でないのなら、そっと様子を見守るのが、良い関わり方だと思います。

もし、まわりに、自分がHSPだと気付けず、傷つきやすかったり、落ち込みやすい人がいたら、「HSPっていうの知ってる?」と声をかけてあげると、心が晴れる人が、ひとり増えるかもしれません。

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