「話すチカラ」  斎藤 孝・安住 紳一郎

HSP

 この本、泣けます!!

「話すチカラ」で泣くって意味がわからないかもしれませんが、胸が熱くなる1冊です。

 この本は、本を作るにあたって、明治大学の教授である斎藤孝先生と、その教え子である安住紳一郎アナウンサーが、実際に明治大学で講義をし、それを本にしたものです。

 明治大学の学生に実際に伝えることが前提にあったためか、とても伝わりやすい、読みやすい本になっています。

 2人がこれから社会にでる学生を前に、真剣に伝えてくれる話は、明治大学の学生ではない、すでに社会人の私にも、十分過ぎるくらい深く伝わりました。

 本文の内容は、「話す」ことのハウツーが基本要素です。

 「話す」とは、アウトプット、伝えたいことが誤解のないように、きちんと伝わることが大切。話の内容や、話す時間、声の大きさ、声色など、耳から入る情報や、ジェスチャーやモノマネなどを加えて、目から見える情報、例え話をするときは「ビールを飲んだ時の爽快感」より「スーパードライを飲んだ時の爽快感」と具体的にして、想像力をかきたてるような、伝え方など、伝えることに対する様々なテクニックが書かれています。

 また、伝える対象が大勢なのか個人なのかでも、伝え方を変えるなど、「話す」ことへの繊細な配慮がたくさん書かれています。

 そして、伝える人に伝わりやすくなるように、人の3倍のインプットをし、新しいことにも積極的に挑戦し、流行りのタピオカミルクティを飲んでみたり、人との会話(地方のスナックのママさん)もインプット源にしているそうです。

 その場にあった問いかけや、話しかけにより、相手に、気持ちよく話をしてもらうことで、「話すチカラ」はコミュニケーションも深めてくれます。

 お世辞を言うのは、媚を売るようで好きではないという人も多いようですが、人が気持ちよくなる言葉なら、お世辞も大切で、自分がポジティブに感じたことを伝えるのは、相手との距離感を縮めてくれます。

 安住さんが「話す」ときは、常に相手を想像しているそうです。テレビキャスターというお仕事で、テレビの向こうで、どんな人が、どのように感じて見てくれているかを想像して、北海道の話題が続いたと思ったら、お天気は九州から伝えるなど、見てくれている人が、興味を向けてくれるように配慮しているため、生放送などではスタッフに都合のよい司会者になれず、意見が対立することもあるそうです。

 そうなんです、安住さんの「話す」は、常に相手を思って言葉を伝えてくれているんです。

 斎藤先生が、ラジオ番組で安住さんが感情をむき出しにして、亡くなった後輩の事を語ったことを、追悼と感じたと書いていました。

 安住さんには、インプットの努力だけではない、共感力の強さを感じました。

 そして、第5章では、涙が止まりません。

 安住さんの上機嫌の維持方法を書いてくれています。

 やぱり、イライラすることがあった時などは、仕事へのモチベーションにも影響するので、仕事前には、なるべくイライラの可能性のある場所には立ち寄らないようにしているって、HSPの行動みたいですね(^^)。

 仕事で失敗して気分が下がってしまったときは、次の仕事で取り返す!!と決めているそうです。

 苦情や、批判なども多い職業で、メンタルが壊れそうになることもあるそうです。そんな時は、自分なりの回復術で「これをしたらもう大丈夫!!」と決めているそうです(実際何かは本書でご確認下してみて欲しいです、私はここで大粒の涙がでました)。

 どんな気持ちで、この回復術をしているかと想像すると、胸がしめつけられました。

 順風満帆で才能を活かして、自由に仕事できていて、才能がある人はうらやましいなぁと世間から思われていそうな安住さんですが、その中身はとても繊細で優しく、思慮深い、前向きな人なんだなぁと感じました。

 斎藤先生とのちょっとしたエピソードも、クスっと笑えて、最後まで飽きずに、一気に読めてしまいます!! うちにはテレビがないので、キャスターをしている安住さんを見ることは簡単ではありませんが、ラジオ番組を聴いてみたいと思います。 

 「話すチカラ」は、「相手を思うチカラ」だと感じました。

 HSPさんには絶対おすすめの心温まる1冊です!!

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